23

いつしか琥珀の姿さえ見えなくなったいま、後ずさるように身を寄せ合う一行が息を飲んでいれば、ザワザワザワ…と不穏な音を立て続けるヘビたちがまるで壁となるように周囲を埋めていく。 「くくく…犬夜叉よ…貴様らに最早逃げ場はない…」 「ちくしょう…出てきやがれ奈落!」 姿が見えずどこにいるのかも分からない相手へ怒鳴り散らすように犬夜叉が声を荒げる。 ――次の瞬間、触手のごとく蠢く多くのヘビたちが犬夜叉を目掛けて勢いよく襲い掛かってきた。それに強く舌打ちした犬夜叉は即座に爪を振るい、眼前へ迫るヘビたちを一気に散らしてみせる。 だがそれに伴い大量の瘴気が撒き散らされ、振るった腕にはジュッ、と焼けるような痛みを与えられてしまった。 「くっ…」 「犬夜叉、倒すたびに瘴気を浴びていたら体が持ちませんよ!」 「分かってる!」 弥勒の忠告に苛立ちを含んで吠えるように言い返す。 彼の言うことは理解している、だが襲い掛かってくるヘビを散らさなければこちらがやられるだけなのだ。それを思えば抵抗するしかなく、ままならない思いに疎ましげに眉根を寄せながら表情を険しくさせた。 なにか打開策はないのか――そんな思いに思考を巡らせようとした時、不意に背後で「う…」という小さな唸り声が漏れた。それに気が付いた彩音が「珊瑚っ」と声を上げては体を支えるままその顔を覗き込む。 すると珊瑚は苦しげな表情で眼前の彩音を見上げ、いまにも消え入りそうなほどか弱い声を漏らした。 「ごめん…ね…あたし…」 「珊瑚、いいの」 「大丈夫よ。分かってるから…」 珊瑚の謝罪を受け入れ許しながら、彩音とかごめは彼女の手をともに強く握りしめる。そして滲んだ涙を押し潰すように目を閉じた彩音は意識を集中させ、珊瑚の体に治癒の力を使い始めた。 そんな彼女たちのやりとりによって珊瑚の目覚めに気が付いた弥勒と犬夜叉は顔を振り返らせ、強張った表情に一時的な安堵を微かに滲ませる。 「よかった、生きていたか珊瑚」 「けっ、そう簡単にくたばられてたまるか。珊瑚! てめえにはあとでたっぷり文句言わせてもらうからな。死ぬんじゃねえぞ!!」 犬夜叉が怒鳴り散らすように、それでいてどこか珊瑚を鼓舞するかのようにそう言い放った――直後。まるでそれを嘲笑うかのように喉を鳴らした奈落の声が再びどこからともなく不気味に響かされた。 「くくく…生きて帰れると思うのか。貴様らはここで死ぬのだ。それも全て…珊瑚の裏切りのせいでな…」 「っ…」 わざと強調するよう告げる奈落の声に彩音は眉根を寄せ、強く唇を噛みしめるほどの怒りを抱く。 誰のせいで珊瑚がそのようなことをしたと。そうせざるを得なくなるよう仕向けたのは誰だと。珊瑚がそうまでして助けたいと思う弟を都合よく使い、挙句その手で珊瑚を殺させようとしたのは誰なのだと、問い質したくなる強い思いが沸々と湧き上がる。 彩音が思わず握り締める手にひどく力を込めてしまうほどの感情に揺さぶられる中、渦中の珊瑚はいくつもの汗を滲ませながら表情を歪め、悔恨の念に苛まれていた。 「(そうだ…あたしのせいだ。あたしが犬夜叉の鉄砕牙を奪ったから…)」 「珊瑚は貴様らの命より…弟を救うことを選んだのだ。怨むなら…珊瑚の浅はかさを怨め…」 そう告げる奈落の言葉が虚空に溶け消えた――次の瞬間、とどめだと言わんばかりに数多のヘビたちが一斉に跳び上がり襲い掛かってくる。まるで壁のように囲み押し寄せるそれらに反射的な舌打ちをこぼした犬夜叉は“一方だけでも突き崩せれば…”という思いを抱えながら咄嗟に火鼠の衣を剥ぐように脱いだ。 そしてそれをすぐさま珊瑚を支える彩音へ被せるよう投げつける。 「なっ犬夜…」 「被ってろ! ちょっとは瘴気をしのげるはずだ!」 驚く彩音を黙らせるよう言いつけては即座に駆け出し、「散魂鉄爪!!」と声を荒げながら容赦なくヘビたちへ爪を振るった。自分が特攻して抜け道を作ろうとしたのだ。 だがヘビを散らせばそれだけの瘴気が溢れ出すもの。瞬く間に広がる瘴気は一帯を包み、ドサドサと降り注ぐ肉片とともに犬夜叉の体をひどく焼き焦がしていく。 「い、犬夜叉っ!」 「駄目だ! キリがない…」 火鼠の衣に守られる彩音たちと違い、自身の手で口元を覆うしか対処法のない弥勒が咳き込みながらそんな声を上げる。辺りにはもう目に見えるほど濃く瘴気が満ち始めているのだ。このままでは全滅も時間の問題だろう。 誰しもがそんな思いに焦燥感を駆り立てられていれば、弥勒が突然ジャッ、と音を立てて右手の数珠を取り外そうとした。 「(道を開くには…風穴を開けるしかない)」 「! 弥勒っ、なにして…」 「だめじゃーっ。いま、風穴を開けたら死んでしまう!」 「下がれ七宝!」 彼の行動に慌てた七宝が風穴を開かせまいと咄嗟に弥勒の右腕にしがみつく。それもそのはずだ。弥勒は先日風穴に傷を負い、それが癒えるまでは絶対に風穴を開いてはいけないと言われているのだから。 しかし七宝を振り払ってまで強行しようとする弥勒を前に彩音も黙ってはいられず、すぐさま彼に駆け寄っては数珠ごと抑え込むよう強く右手を抱きしめた。 「お願いやめて! 弥勒の犠牲なんて誰も望んでない!」 「これしかないんだ! ここで皆殺しにされるくらいなら…」 彩音の懇願にも弥勒は必死の様相で強く返しながら彼女を引き離そうとした――その瞬間、ドス、という鈍い音と衝撃が弥勒を襲う。その唐突な出来事に彩音が思わず「あ…!?」と短い声を漏らした目の前で、弥勒の腹に深く拳を叩き込む犬夜叉の姿があった。 「てめえ…なにを…」 思わぬ一撃に弥勒から恨めしげな声が小さく漏れる。だがその意識はすぐに遠ざかり、犬夜叉の腕にもたれ掛かるよう力なく崩れ落ちてしまった。それをしかと受け止めると、犬夜叉は呆れを含んだ目で彼を見下ろし「ったくこのバカ…」と疎ましげな声を落とす。 「(こうでもしなけりゃ、こいつは止められねえ)」 「くくく犬夜叉…お前のその甘さが命取りだ…裏切り者の珊瑚を憎み切れず、法師の命を惜しんで、自ら活路を閉ざす。くくく…なんという愚か者どもだ。助け合い、思い合って…そして…そのせいで死んでいくのだ。くくく…」 まるで犬夜叉の選択が間違いであるかのように嘲笑う奈落の声が瘴気満ちるこの空間に忌々しく木霊する。それを嫌でも聞かされる彩音は預けられた弥勒を支えながら、胸のうちに湧き上がる怒りにギリ…と歯を慣らした。そして強く眉根を寄せ、奈落を射抜くように虚空を見上げる。 「なにもかも…あんたが仕向けたくせにっ…」 こうなることを分かっていて、それを望んで全てを仕組んだ者が、まるでこちら側の不手際であると、自業自得であるとでも言いたげなその様子がひどく気に食わない。いますぐに奈落を見つけ出し仕留めなければこの怒りが治まることはないだろう。それほど大きく湧き上がる感情を抱きながら彩音は鋭くした視線を辺りへ巡らせ、見えないその姿を必死に捜そうとした。 必ずいるはずだと。どこかに隠れているはずだと、確信に近い思いを抱きながら。 ――するとその時、不意に建物の中に見覚えのある淡い光が薄く滲んでいるのを見つけた。 「! いた!」 「見つけたのか!?」 「あそこ!」 すぐさま振り返ってくる犬夜叉へ告げながら彩音は咄嗟に弓を引き絞る。その矢尻で居場所を指し示せば、犬夜叉は即座に「奈落!!」と声を荒げながらそこへ駆け出した。 だが周囲にはヘビたちの壁。彼の行く手を阻むように一斉に襲い掛かるそれは、煩わしげに爪を振るう犬夜叉へひどく濃密な瘴気を浴びせた。それには犬夜叉もたまらず「がはっ」と咳き込むほど苦悶の表情を滲ませる。するとその隙を突くようにヘビたちが正面から襲い掛かり、彼の体はヘビに突き込まれ押し返されてしまった。 「犬夜叉っ!」 その光景に彩音が思わず声を上げる。そして咳き込みながら目を覚ました弥勒とともに彼を見つめる中、犬夜叉は瘴気が濃く満ちる地面に叩きつけられ、ジュー、と焼けるような音を立てた。 その様子に気を良くしたか、奈落は「くくく…」と込み上げる笑みを響かせる。 「惨めだな、犬夜叉。愚かな仲間たちとともに、苦しみながら死ね…」 「くっ…」 「出来損ないの半妖には、ふさわしい死に様よ」 瘴気に体を蝕まれ、苦痛に歪めた表情を見せる犬夜叉へ奈落の嘲りが降り注ぐ――次の瞬間、勢いよく放たれた一本の矢が突如ドガッ、と鈍い音を立てて建物の壁を打ち破るよう激しく破壊した。 「なっ…!?」 「あ…?」 突然の出来事に犬夜叉や弥勒が圧倒されるよう目を疑う視線の先。ガラガラガラと荒々しい音を立てながら崩れ落ちる壁の向こうに、土煙に覆われる人影が現された。 やがてその土煙さえ晴れていき露わにされたその姿は、今しがた放たれた矢によって右肩をわずかに損傷した奈落のものであった。 「な…に…?」 目を見張り、愕然とするままに小さく漏れる声。あまりに唐突で容赦のないその一撃に状況判断が追い付かず、犬夜叉たちだけでなく奈落までもが驚愕に満ちた表情を見せていた。 それが向ける視線の先には、弓を構えるまま唇をきつく噛みしめた彩音の姿。 「(美琴…)」 「このっ…下衆野郎!! 絶対許さない!」 ひどく怒りに満ちた表情で強く言い放ち、その手に次の矢を握り締める彩音。もう我慢がならず、なりふり構っていられなかったのだろう。それが分かるほど容赦のない矢の軌道を描くように、あれほど隙間なく囲んでいたヘビの壁に一線の空白ができていた。 それだけでなく、その空白はシュー、と細く音を立てて清らかな光に包まれる。どうやら満ちていた瘴気が浄化されているようで、その光景を見つめる七宝たちが呆然とした表情で目を丸くしていた。 「瘴気が消えてゆくぞ」 「これは…彩音が…?」 「(なんだ…? 美琴にこれほどの力があったというのか…!?)」 掠めただけで抉られるように穿たれた右肩に手を添えながら、苦痛の表情を滲ませる奈落が彩音を見据える。まるで見定めるようなその目。それに対峙する彩音は依然として射殺さんばかりの強い瞳で奈落を睨みつけていた。 「次は確実に…殺す」 「ふっ…貴様にわしが殺せるというのか?」 彩音の容赦ない言葉に対し、奈落は苦悶の表情ながらニヤ…と怪しげな笑みを浮かべてみせる。それに、違和感を抱いた。 この状況、どう考えても彩音が有利であるはずだ。彩音に奈落を殺せない理由などない。だというのに、なぜ奈落は迷いもなくそのようなことを言えるのだろう。 まるで彩音の覚悟を問うかのようなそれを訝しみ眉をひそめると、彩音は弓を握る手に一層の力を込めながら小さく問いかけた。 「一体…なにが言いたいの」 「どうした…記憶でも失ったか? 美琴よ…お前は…この奈落の“義妹(いもうと)”であろう」 「!?」 ――ドクンッ、 奈落の言葉に心臓が強い鼓動を響かせる。途端に頭が真っ白になってしまいそうなほどの衝撃は、彩音だけでなく犬夜叉や弥勒たちまで驚愕の色に染めていた。 (美琴さんが…奈落の、義妹…!?) 到底信じられない、信じられるはずがないその言葉を脳内で何度も反芻させてしまう。するとまるでそれに呼び起こされるかのように、脳の奥底から記憶の断片たちが溢れ出してきた。それはいくつもの写真が散らばるように様々な光景を繰り広げ、頭の中を“知らない記憶”で埋め尽くしていく。 それほど数多くの記憶が溢れる中、ぼやけて見える美琴の視界らしき景色の中にはいつも同じ少年の姿があった―― 「なんで泣いてんだお前。迷子にでもなったのか?」 「おっかあに…化け物って…! わたし、なにも…してないのにっ…」 「……ふーん。捨てられたのか…じゃあおれと来いよ。これからは、おれがお前のあんちゃんだ」 「ねえ義兄(にい)さん…ずっと傍にいてくれて、ありがとう」 「なんだ、急に」 「ううん。なんでもないの…気にしないで」 「嫌よ義兄さん…私は野盗なんて…そんなことしたくないっ」 「なんでだよ。お前の力があればなんでもできるんだぜ? お前を気味悪がった人間にも復讐できる…」 「私はそんなこと望んでない!」 「私…もう義兄さんとはやっていけません」 「あ? どういう意味だ」 「…私はこの力を…人助けのために使う。だから…さようなら、義兄さん…」 ――次々と甦る、記憶の断片。それらはとてもいいものばかりとは言えない様子であった。 それでもいつも傍にいる男は、確かに美琴の支えとなっていたように見える。それが成長とともにすれ違いを大きくしていくと、美琴の記憶の再生は突然ピタ、と止まってしまった。 「っ……」 顔を歪めた彩音は手にしていた矢を落として頭を押さえ込んだ。膨大な量の記憶を唐突に、一度に受け止めたことが苦痛となり、血流が激しさを増したよう心臓がドクドクと激しく鼓動を繰り返す。それすらも抑えようと胸を掴み込んだ彩音は至極小さな声を漏らし、突如膝から崩れ落ちるようにその場にうずくまってしまった。 「彩音!」 「彩音さまっ」 「くくく…身寄りを失ったお前に手を差し伸べ育ててやったのは、かつての鬼蜘蛛であろう? 奴から生まれたこの奈落を、お前は殺せるはずがない」 彩音が崩れたことで立場の逆転を確信した奈落が先ほどの焦りを隠すように再び胡乱げな笑みをその口元に浮かべる。 ――だがその瞬間、視点に捉える彩音の向こうから迫った凄まじい勢いの矢が奈落の右腕を容赦なく消し飛ばした。 「!?」 「動かないで!」 不意を突かれ目を見張る奈落の正面、彩音の向こうに立つかごめが弓を構えたまま強く言い放った。 凄まじい力。それをひどく味わわされた奈落は腕を失った右肩を押さえ、驚愕の色をありありと示しながらかごめの姿を見つめていた。 「女…お前…何者だ…」 これまで、奈落にとってかごめは不可解ながらも“ただの人間の女”という認識であった。しかし今しがた放たれた矢から感じた圧倒的な力には覚えがある。それを思っては、汗を滲ませるほど半信半疑の様子を露わにしながらかごめの姿を睨みつけた。 「(この奈落の体を貫くとは…) 昔…お前と同じ力を持った女がいた…」 「その桔梗も…あんたが罠にかけて殺したんじゃないの!!」 「お前、桔梗の… (生まれ変わり…!?)」 ようやくそれを悟った奈落が耳を疑うような思いを抱きながら滲ませた汗を伝わせる。 まさか桔梗の魂が転生し、再びこの世で生きているなどとは露ほども思わなかったのだ。あり得ない、そんな思いを抱きながらもその確かな力に否定することができない奈落が戸惑いの色を垣間見せる最中、苦しげにうずくまっていた彩音がヨロ…と体を揺らがせながら立ち上がった。 未だ苦痛の滲ませるその表情。しかし確固たる意思を持つ瞳が奈落を捉えると、弓を握り締めるその手に強く力が込められた。 「そう…あんたが思った通り、かごめは桔梗は生まれ変わり…だけどねえ、私は違う…美琴さんじゃないし、生まれ変わりでもない。私は私…だから…だから私にとってのあんたは、ただの敵でしかない!!」 思いの丈をぶつけるようにそう言い放つと同時に強く引き絞った矢を放つ。瞬く間もなく奈落へ距離を詰めた矢はその体に触れた途端、ドガ、と鈍くも凄まじい音を響かせて彼の首から下の全てを打ち砕くように消し飛ばしてみせた。 「やった!」 「す…すごい」 思いもよらないほどの強大な力に七宝と弥勒が思わず感嘆の声を漏らす。だがその時宙を舞った奈落の首が逆さまに落下しながら、ニヤ…と不穏な笑みを垣間見せた。 「「!?」」 「! 危ねえっ!」 瞬時に危機を察知した犬夜叉が彩音の手を引くと、それに伴うよう突如奈落から大量の瘴気の波が押し寄せてくる。それから彩音を守るように抱きしめた犬夜叉が咄嗟に大きく飛び退くと同時、弥勒が傍のかごめを引き込んでは七宝や珊瑚とともに火鼠の衣を深く被った。 すると瘴気は嵐のように吹き荒び、豪雨のように一同へ激しく打ちつけてくる。それでも必死に彩音をかばう犬夜叉の背中から焼けるような音が上がる中、城までもが溶かされていくかのようにボロボロと砂状に崩れて消え始めていた。 ――そうして次第に風に流されるよう瘴気が失せ、静けさを取り戻した頃。周囲に確認の目を向けた一同が見たものは、いまにも崩れ落ちそうなほど朽ち果てた門構えだけが残る殺風景な荒地であった。 先ほどまでの光景がまるで嘘のように清らかな日差しが降り注ぐそこには、あの大きな城の面影さえ見えない。 「城が消えた…」 「まやかしの城だったのか…」 「(奈落は死んだのか…?)」 城の残骸も奈落の肉片も、なにひとつ残されていない地表を見つめながら思う。 最後に見た奈落の姿は、体を失い落ちていく首のみであった。あの状態ではとても生きていられるものではないが、相手はあの奈落だ。復活のためならばどんな手を使うか分からず、はたまた体を打ち砕かれたことさえまやかしだった可能性も捨てきれないため、行方の知れない相手に一切の油断も許されない気持ちで辺りを見回していた。 そんな時、不意に傍の彩音が「あ…」小さな声を漏らしそっと指を差す。 「ねえ犬夜叉、あそこ…」 「(鉄砕牙!)」 思わず目を丸くしたその視線の先――そこにあったのはどこか侘しさを感じさせる様子で地面に刺さった鉄砕牙の姿であった。

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