2018.08.02

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現代に身を移して一夜が明けた。未だこの時代の事々は慣れないが、自然と落ち着くのはここがお前の家だからなのだろうな。 声に出さぬままそう語り掛け、戸を開ける。そろそろ帰るぞと、あいつを起こすために。 だが戸を開けた途端、目に飛び込んできた光景に思わず足を止めた。寝床に転がるあれの腕の中に、しかと抱きしめられるものがあったからだ。 あれは…確か、げーむせんたーとやらでとったもの。しべ…なんといったか、犬の人形。それを愛おしげに強く抱きしめるあれの姿に、自分でも気付かぬ間に眉間にしわを寄せていた。 「ん…あれ、おはようございます…」 どうやら目を覚ましたらしく寝ぼけ眼を私に向けてくる。だがそれに声を返すことなく歩み寄っては、今もなお腕の中にある人形を取り上げた。 「えっな、なにするんですか」 「…支度をしろ。向こうに帰るぞ」 傍にあった机へ人形を無造作に置きながら言えば、戸惑いを見せながらも「分かりました」と素直に従い部屋を出て行く。 それを見届けた私はちら、と傍の人形に目を向けた。 「気に食わん奴だ…」

- - - - - - 短編の『現代歩き』の続きで書きたいなーと思いながらずっと書いてなかったネタでした。 イッヌのぬいぐるみに嫉妬する丸さま可愛いと思うんです。(などと供述しており…) いつかちゃんと短編に書き起こしたいですね。 2018.08.02:twitterにて掲載。

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