◆ 愛ゆえの行為
私は意地悪なのかも知れない。
そんなことを思いながら、仲のいい殺生丸の横に座って楽しく笑っていた。
殺生丸や犬夜叉たちとは小さい頃から知り合いで、今もよく一緒に話したりしている。
「この前さ、威張って掛かってきた馬鹿な妖怪がいたんだよ。雑魚だったから簡単に倒したけどね」
「ふっ、#name#は相変わらずだな」
「そうかな?でも殺生丸だって強いでしょっ」
「私は雑魚に構うほど暇ではない」
「あはは、相手にもしないなんてさすが殺生丸だねー」
笑いながら殺生丸の方を見ていると、何だか後ろの方から視線を感じた。
なんとなく予想は出来るその視線の主へ振り返ると、睨むような目をした犬夜叉が座っている。
やっぱり犬夜叉だった。
そんな時、殺生丸がもう行くぞとだけ言い残して立ち上がるから、私はいつものように頷いて犬夜叉の方に駆けて行った。
犬座りをしている犬夜叉の横に座れば、無愛想な顔でこちらを見てくる。
「どうしたの?」
そう白々しく問うてみれば、犬夜叉はふて腐れたような態度をする。
本当は犬夜叉の言いたいことは分かっていた。
それでもあえて聞いてしまう自分がいるのだ。
「おめー…何回言ったら分かんだよ」
「ん?何が?」
「殺生丸なんかにへらへら笑うなっつってんだよっ」
「あー、そのことね。毎回思うけどさ…何で殺生丸に笑っちゃダメなの?」
「そっそりゃあ…、……」
遊ぶように返事をすれば言葉を詰まらせる犬夜叉。
困ったような苛立ちを隠しきれてない様子を見るのが楽しくてしょうがない。
犬夜叉が顔を逸らすけれど、私は追うようにじっと覗き込んだ。
「そりゃあ、何?」
「みっ見てると、何かムカつくんでいっ!」
「何それ、理由になってないよ」
くすくすと私が笑うと頬を紅潮させた犬夜叉がわなわなと震える。
犬夜叉が何か言い返そうと口を開いた途端、その肩に私の頭を預けた。
その瞬間に犬夜叉はぴたりと止まって。
私はなるべく優しく口調を和らげて、そっと語りかけた。
「犬夜叉がどうしてもって言うんならやめるよ…私は犬夜叉が好きだから」
「…#name#……」
犬夜叉が私の名前を呟くと、そっと私の方に頭を傾けてきた。
肩に手を回されて私は静かに目を閉じる。
本当は君に嫉妬されるのが嬉しくて、いつも殺生丸と話しするんだよ。
その言葉は口から出ることはなく。
ただ静かに、私の胸の中に収められた。
わざと嫉妬させちゃう私は、やっぱり意地悪なのかも知れない。
end.
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