◆ 過ぎた制限時間
私には好きな人がいる。
いつも折り鶴を作ってくれたり、話相手になってくれたりしてすごく優しい人。
そう、私は白夜が好き。
そんな片想いを抱きながらいつものように白夜の隣にいる。
現代から来ている私は、毎回現代の物をネタに白夜と話を弾ませていた。
「今日は4月1日、エイプリルフールなんだよ」
「えいぷ…り、る?どう言うことだ?」
「エイプリルフールって言うのは、嘘をついてもいい日って言えば分かるかな?」
「へー、そうなのか。…でも、もうすぐそれも終わるな」
白夜がそう言いながら外を見る。
襖の隙間に見えるのは、もう真っ暗で月が煌々と光る空。
私はふと携帯を取り出して画面を見てみた。
携帯に表示されているのは『4/1 23:52』という数字。
そういえば、エイプリルフールだと分かっていたのに全然嘘をついてなかった。
「どうせならあと8分間、嘘つきまくろうよっ」
「それもいいが…#name#、それ言ったら嘘だってすぐ分かるだろ?」
「……あ」
しまった!
ついやっちゃったよ…!
唖然とする私を見て、白夜はくすくす笑ってる。
笑顔は好きだけど、私が笑われてるのは気に食わないっ。
「笑うなー!」
「無理、#name#が面白すぎてっ…」
「うぅー…!」
完全に遊ばれてる。
ダメだ、このままじゃ私負けてる!
私も何か言い返してやろうとした途端、「そろそろかな…」と言う声と同時に白夜の人差し指で口元を押さえられた。
「実は俺、#name#のこと好きなんだ」
私の口元から指を離し、柔らかく微笑みながらそんなことを言う白夜。
いきなり何を言い出すやら、エイプリルフールにはありきたりなベタな台詞。
顔が熱くなったのも束の間で、白夜の嘘だって思うと凹んできた。
すると私の今の思いを察したのか、白夜が苦笑しながら私のポケットを指差した。
「今の時間、見てみな」
そう言われ、私は不思議に思いながらも取り出した携帯の画面を見る。
四角い液晶画面の真ん中辺りに表示された文字列。
時計の表示は、『4/2 0:00』。
end.
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