2人だけの領域

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殺生丸と旅を共にして、ずいぶん時が経った。 #name#と殺生丸は両思いだと分かって以来、2人共互いにのろけ合っている。 そして、2人は今日も一緒にいた。 「はい、殺生丸」 「#name#の手料理か。いつも美味そうだな」 「殺生丸のために頑張って作ってるからねっ」 弁当を持つ#name#はにっこり微笑む。 今は昼時で、一行は休憩時間を満喫しているのだ。 微笑む#name#を見て、殺生丸もつられるように優しく微笑んだ。 「ね、何から食べたい?」 「何でもいい。#name#の料理は何でも美味いからな」 「そう?ありがとっ。でも、ちょっと照れるかな…」 「気にするな。照れる#name#も愛おしいから安心しろ」 #name#の頭を寄せて、額に軽く唇を当てる。 そして顔を離すと、今度は優しく#name#の頭を撫でた。 すると愛くるしい猫のように顔を綻ばせて。 殺生丸が撫でるのを終えると、#name#はにこっと笑った。 「私からも…お返しっ」 殺生丸の頬に顔を近付け、同じように唇を当てる。 驚いたような顔をする殺生丸だが、すぐに表情を改めた。 すごく優しそうに、柔らかい表情を見せている。 「ねぇ邪見さま。殺生丸さまと#name#お姉ちゃん、いっつもらぶらぶだよねー」 「何じゃその"らぶらぶ"というのは」 「愛し合ってる、って意味なんだって。#name#お姉ちゃんが言ってた」 「まー…今の2人は全くその通りじゃな…」 邪見とりんは呆れたように2人を見ていた。 すると2人は立ち上がり、りんたちに向かって手を振る。 それは"もう出発するよ"という合図で、りんたちは#name#たちの元へ走って行った。 ある程度歩いた頃。 足元に小石があることに気付かず、#name#はそれに躓いてこけてしまった。 膝にかすり傷ができ、りんは心配そうな顔をする。 「大丈夫?#name#お姉ちゃん…」 「う、うん。かすり傷だから全然平気だよ」 「痛むのか?」 りんに続いて殺生丸が声を掛けて来る。 #name#が「ちょっとだけ…」と答えると、殺生丸は#name#の膝裏に腕を通した。 「わっ!」 「洗った方がいいだろう。私が連れて行ってやる」 「…ありがとうっ、殺生丸!」 殺生丸が#name#を抱き抱えると、お礼と言わんばかりに抱き返す#name#。 その行動を、りんと邪見は苦笑いで見ていた。 ふと、後ろから声が聞こえて来て、一行は振り返る。 するとそこには犬夜叉たちがいた。 「殺生丸に#name#ちゃんじゃない」 「かごめちゃん!久しぶり!」 殺生丸が体ごと振り返った途端、犬夜叉たちは驚いたような顔をした。 目を点にして、ぱちくりと瞬きをする。 「#name#ちゃん…何で殺生丸にお姫様だっこなんて…」 「ちょっとこけちゃって…殺生丸優しいでしょっ」 「え、あ…うん、そうね…(ただのかすり傷にしか見えないけど…)」 「私の#name#に何かあったら困るからな」 殺生丸の発言に、犬夜叉は一歩後ずさった気がした。 微笑み合う2人を見て、全員が呆れたような顔をしている。 #name#と殺生丸の愛し合いには、誰も勝てる気がしなかった。 「見てるこっちが恥ずかしいわね…」 「お、おう…」 end.

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