◆ 決着なんてつきません
「おい殺生丸。その手離しやがれ」
「貴様こそ降参してはどうだ?そろそろ腕が疲れたであろう」
「けっ!このぐらいで疲れるほど弱くはねえんでなっ!」
「痛い痛い!少しは手加減してよーっ!」
#name#を挟み、片方ずつ腕を引っ張り合う犬夜叉と殺生丸。
引っ張りダコ状態の#name#は悲鳴を上げていた。
こうなったのも、さかのぼること数分前──
──いつものように#name#は犬夜叉たちと一緒に旅をしていた。
そんな時、かごめが休憩しようと言いだして。
一行はその場に座り込んだ。
「みんな体力あるわねー」
「そう?全然平気だけど…」
「そう言えば#name#ちゃんは運動部だったのよね」
「でも最近はこっちにいることが多いから、全然運動してないけどね」
などと他愛のない話を交わす2人。
すると弥勒が急に#name#のところまで歩いてきて。
2人が弥勒に視線を向けると、コホンっと咳払いをひとつ。
「#name#さまは犬夜叉と殺生丸、どちらが好きなんですか?」
「えっ?犬夜叉と殺生丸?」
「はい」
「みっ弥勒てめえ!何変なこと聞いてやがんだっ!」
密かに聞いていた犬夜叉が弥勒に詰め寄る。
だが弥勒は怯んだ様子がひとつもなく、真面目な顔をした。
「変なことではありませんよ犬夜叉。どちらを選ぶかで、#name#さまの将来が変わるんですから」
「そッ、それは…そう、だけど…よ…」
言い負かされ、段々と語尾が小さくなっていく犬夜叉。
そんな犬夜叉の頬は赤く、視線を泳がせていた。
弥勒はそんな犬夜叉をスルーし、再び#name#に向き直った。
「私は珊瑚という立派な嫁がいますが、#name#さまのお婿さまはどうするつもりで?」
「あ、珊瑚ちゃん赤くなってる」
「#name#ちゃん、今は真剣に弥勒さまの質問に答えるべきよ!」
かごめに注意され、渋々弥勒の方へ視線を向け直した。
だがやはり、決まってはいないようで。
犬夜叉と殺生丸か…、としばらく考えている様子だった。
「! 殺生丸の匂いがするぜ…」
「え?噂をすれば何とやら?」
犬夜叉が見る方向に、#name#は素早く顔を向けた。
すると微かにその影は見えて来て。
何だか、いつもより歩く速度が速い気がした。
「殺生丸ー!」
かごめもその姿に気付いたようで、大声で呼んだ。
そしてすぐさま立ち上がり、かごめはさっさと殺生丸の方へ駆けて行く。
どうやら、何か話しているようで。
ようやくかごめが話し終わると、殺生丸はさっきよりも歩くスピードを速めた。
「私を選んでくれるのだろう?#name#」
「はい?」
「おい殺生丸!#name#が選ぶのは俺に決ってんだろッ!」
「はっ?ちょ、どうしたの2人共!」
いつもと様子が丸っきり違う2人に、#name#は思わず戸惑った。
すると殺生丸に腕を引かれ、体がそちらへ傾いて。
その瞬間、反対側からも腕を引かれた。
──そして、今に至る。
両者共に睨みあい、#name#の腕を離そうとしなかった。
ここまでムキになる殺生丸を初めて見た一行は、目を点にさせている。
「まさかとは思ったけど…殺生丸も#name#ちゃんLOVEだったなんて…」
「かごめちゃーんっ!そんなこと言ってないで助けてよーっ」
end.
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