◆ 宿題の代償
場所は隣のクラス。
実はこのクラスに、蛮骨がいるのだ。
「どうかっ、このとーり!」
ぱんッと手を合わせ、蛮骨に頭を下げる私。
実は宿題をやり忘れて来てしまったのである。
いつもはやるんだけど、昨日はテレビに見入っちゃって、そのまま寝ちゃったせいでやっていない。
「#name#が忘れるなんて珍しいな」
「あはは…昨日は色々ありまして…」
「でもその宿題の提出、5限目だろ?まだ2限終わったばっかりだぜ?」
そう。
蛮骨の言う通り、ついさっき2限が終わったばかりだった。
私のクラスの宿題提出は5限目。
だけど今すぐに終わらせないといけない理由があった。
「実は…4限目に鋼牙と蛇骨のクラス、これ提出しなきゃいけないらしくて…」
「は?何でそいつらに合わせるんだ?」
「いつも私が宿題忘れないからって、2人共私の写しに来るの」
「はあー?」
思いっ切り呆れた顔された…。
だって仕方ないじゃない!
2人に迫られたら、断りようがないんだものっ!
なんて心の中で叫びながら、私はもう一度頭を下げた。
「だから、お願いっ」
「…ったく、仕方ねえな。これっきりだぜ?」
「ああありがとう蛮骨ぅっ!」
「お、おうっ…」
私が盛大にお礼を言うと、蛮骨は驚いた顔して。
頬が赤く見えるけど、今日熱いし、熱にやられたのかな?
とりあえず、そんなことより私は蛮骨が差し出すノートを掴んだ。
だが、
「……あ、あの…」
何で離してくれないんですか、蛮骨さん。
何故か蛮骨はノートを掴んだまま離してくれない。
ちょっと!
もうすぐ授業始まっちゃいそうなんだけど!
そんな私の焦りをよそに、にやりと笑う蛮骨。
「蛇骨も鋼牙の野郎もずりーなぁ」
「へっ?」
「おれも今度から、#name#の宿題見せてもらおうかな」
「はぁあっ!?」
私は3人に見せなきゃいけなくなるんですか!?
それは願い下げっ!
すぐに私はぶんぶんと首を横に振った。
「蛮骨がやらなかったら、私が忘れた時見せてもらえないじゃん!」
「だから忘れないようにしろって言ってんの。それとも、毎回おれのところに来るか?」
にやにやと笑われて、私は少し頬が熱くなるのを感じた。
するとその時、けたたましいチャイムが鳴り響いて。
私はノートを奪うように取り、「ありがとうっ」と言い残して踵を返した。
けれどその瞬間、腕を掴まれてしまって。
振り返ると、蛮骨が怖いくらいにっこりと笑っていた。
「後でお礼はたっぷりとさせてもらうからな」
「────!」
にやりと悪戯っぽい笑みで言われて、私は思わず息を飲んだ。
何をされるんだろう。
今の仕草で、脳裏にやらしいことを思い浮かべてしまった私は、誤魔化すように頭を振るった。
end.
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