宿題の代償

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場所は隣のクラス。 実はこのクラスに、蛮骨がいるのだ。 「どうかっ、このとーり!」 ぱんッと手を合わせ、蛮骨に頭を下げる私。 実は宿題をやり忘れて来てしまったのである。 いつもはやるんだけど、昨日はテレビに見入っちゃって、そのまま寝ちゃったせいでやっていない。 「#name#が忘れるなんて珍しいな」 「あはは…昨日は色々ありまして…」 「でもその宿題の提出、5限目だろ?まだ2限終わったばっかりだぜ?」 そう。 蛮骨の言う通り、ついさっき2限が終わったばかりだった。 私のクラスの宿題提出は5限目。 だけど今すぐに終わらせないといけない理由があった。 「実は…4限目に鋼牙と蛇骨のクラス、これ提出しなきゃいけないらしくて…」 「は?何でそいつらに合わせるんだ?」 「いつも私が宿題忘れないからって、2人共私の写しに来るの」 「はあー?」 思いっ切り呆れた顔された…。 だって仕方ないじゃない! 2人に迫られたら、断りようがないんだものっ! なんて心の中で叫びながら、私はもう一度頭を下げた。 「だから、お願いっ」 「…ったく、仕方ねえな。これっきりだぜ?」 「ああありがとう蛮骨ぅっ!」 「お、おうっ…」 私が盛大にお礼を言うと、蛮骨は驚いた顔して。 頬が赤く見えるけど、今日熱いし、熱にやられたのかな? とりあえず、そんなことより私は蛮骨が差し出すノートを掴んだ。 だが、 「……あ、あの…」 何で離してくれないんですか、蛮骨さん。 何故か蛮骨はノートを掴んだまま離してくれない。 ちょっと! もうすぐ授業始まっちゃいそうなんだけど! そんな私の焦りをよそに、にやりと笑う蛮骨。 「蛇骨も鋼牙の野郎もずりーなぁ」 「へっ?」 「おれも今度から、#name#の宿題見せてもらおうかな」 「はぁあっ!?」 私は3人に見せなきゃいけなくなるんですか!? それは願い下げっ! すぐに私はぶんぶんと首を横に振った。 「蛮骨がやらなかったら、私が忘れた時見せてもらえないじゃん!」 「だから忘れないようにしろって言ってんの。それとも、毎回おれのところに来るか?」 にやにやと笑われて、私は少し頬が熱くなるのを感じた。 するとその時、けたたましいチャイムが鳴り響いて。 私はノートを奪うように取り、「ありがとうっ」と言い残して踵を返した。 けれどその瞬間、腕を掴まれてしまって。 振り返ると、蛮骨が怖いくらいにっこりと笑っていた。 「後でお礼はたっぷりとさせてもらうからな」 「────!」 にやりと悪戯っぽい笑みで言われて、私は思わず息を飲んだ。 何をされるんだろう。 今の仕草で、脳裏にやらしいことを思い浮かべてしまった私は、誤魔化すように頭を振るった。 end.

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