◆ 優しい君は珍しい
四角い天井が全て視界に映る。
天井に備え付けられた電気の豆球が、ほんのりと明るく部屋を照らしていた。
──あれ…ここ、私の部屋…?
ぼーっとする頭でそんなことを思う。
#name#は戦国時代にいたはずだが、今は何故か現代に戻っているのだ。
それもさかのぼること1時間──
「う…、っケホ、ゲホっ」
「どうしたの#name#。顔、赤いよ?」
「もしかして、熱でもあるんじゃろうか」
珊瑚と七宝が、心配そうに#name#の顔を覗き込む。
#name#はうつむく顔をゆっくりと上げ、あどけない笑顔を向けた。
「大丈夫だよ~…ちょっとぼーっとするけど…」
「それは大変です。どれ、私が──」
「法師さまは黙ってて。どうせまたロクでもないこと言うんだろ?」
「珊瑚…それはひどい偏見ですね…」
#name#に手を伸ばしかけた弥勒を、珊瑚が飛来骨でゴツッと殴った。
七宝も呆れたような表情だ。
「弥勒はバカじゃのう…」
「バカとは何ですかバカとは」
「弥勒がスケベなのは、今に始まったことじゃねえよ」
「犬夜叉まで…」
苦笑しながら、ため息をこぼす弥勒。
その時、いつもなら苦笑いですませる#name#の体が、ぐらりと傾いた。
「! #name#っ!?#name#っしっかりしろ!」
ドサッと音を立て、地面に倒れ込む#name#を半分起こし、声を張り上げる犬夜叉。
だが、視界がかすれて行く#name#は、声が全然出せなくて。
#name#はそっと、犬夜叉の方へ顔を向け、目を細めていった。
「おい#name#!?#name#っ!」
──あぁ…犬夜叉が心配してくれてるなんて…珍しいなぁ…。
あぁでも、もう駄目だ…頭が重、い…
#name#は遠のく意識に、身を任せてしまった。
──そして、今に至る。
意識が戻った#name#は、ベッドの上に寝かされていた。
さっきまであっちにいたはずなのに…と、状況が読み込めていない。
無理にでも状況を把握しようとしたせいで、ズキリと頭が痛んだ。
痛む場所を押さえながら、ゆっくりと体を起こした。
「…おう、起きたか」
「! 犬、夜叉…っ?」
ふいに声を掛けられ、ぴくりと肩を上げた。
声の主へ視線を向けると、椅子の上にちょこんと座る犬夜叉の姿があった。
「何で、ここに…?」
「何でって…お前がぶっ倒れたから、見ててやったんだっての」
「…そうなんだ……ありがとね」
さりげなく微笑むと、犬夜叉はほんのりと頬を赤く染めた。
思わずくすっ、と笑うと犬夜叉が声を上げる。
「なっ何笑ってやがるっ!」
「だって犬夜叉ってば、可愛いんだもん」
「か、可愛い…だと!?」
心底驚いたような表情で後ずさりを見せる犬夜叉。
けれど、その表情もすぐに変わって。
気がつくと、目の前まで犬夜叉が来ていた。
「可愛いのは…お前の方だっての…」
「え…っ───!」
唇を深く、重ね合う。
#name#はただただ、驚いていた。
何があったのか。
今、何が起きているのか。
急展開についていけない#name#は、犬夜叉にされるがままだった。
「#name#の寝顔…可愛かった」
「そっそんなこと…」
「いや、すげえ可愛かった」
「もう…馬鹿…っ」
#name#は照れくさそうに、頬を赤く染める。
そんな#name#の頭を、犬夜叉は優しく撫でていた。
end.
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