暖かい心の証

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「うぅ~…寒いぃ~…」 鼻を赤くし、手をこすり合わせる#name#。 その姿は本当に寒そうで。 隣を歩く犬夜叉は、心配そうに#name#を見つめた。 「大丈夫か#name#?」 「無理…犬夜叉、手かして…」 「お、おう…?」 急な申し出に、少し戸惑いながらも手を差し出した。 その瞬間がばっと包み込むように、#name#が犬夜叉の手を掴む。 一気に犬夜叉の顔が引き吊った。 「冷てぇッ!?」 「犬夜叉の手、あったか~い…」 顔を綻ばせる#name#に対し、犬夜叉は冷たさに口元をひくつかせていた。 途端に犬夜叉の鼻がぴくり、と何かに反応した。 「…チッ、痩せ狼の臭いだ」 「え、鋼牙くんっ?」 疎ましそうに表情を歪める犬夜叉。 だが#name#は反対に、期待に満ちた声をもらした。 その時だった。 つむじ風が見えたかと思うと、犬夜叉の頭をドスっ、と何かが踏みつけた。 「うぶッ!」 「よう#name#、元気にしてたか?」 踏みつけた何かは鋼牙だった。 #name#を前にした鋼牙は、清々しい声でそう言った。 対する#name#も嬉しそうに笑顔を見せた。 「鋼牙くんっ!」 そう言うと、ぎゅっと鋼牙の体に手を回す。 すると犬夜叉が、わなわなと体を震わせ始めた。 「おいこらテメェ!何おれを踏みつけといて、無視までしやがんだよ!!」 「何だ犬っころ。いたのか」 食い掛かる犬夜叉に、平然と返事をする鋼牙。 その言葉に怒りを覚えたのか、犬夜叉は鋼牙に爪を向ける。 「ふざけんな!#name#を離せっ!」 「何だよいちいちウッセーなぁ…#name#、どっか遠くに行こうぜ」 「え、わわっ!」 爪で地面を破壊する犬夜叉を避け、鋼牙はその拍子に#name#を抱き上げた。 「あっテメェ、待ちやがれ!!」 「ふんっ、あばよ犬っころ!」 「えっえぇぇえ!?」 #name#の声が、すぐに小さくなるほどのスピードで、鋼牙はどこかへ走り去ってしまった。 「…ここなら犬っころも来ねぇだろ」 そう言い、鋼牙はそっと#name#を降ろした。 思わずバランスを崩し、ふら…とよろける#name#を、鋼牙が手を掴んでそれを支える。 その時、鋼牙が顔をしかめた。 「どうしたんだ#name#。手、冷てぇぞ」 「いやぁ…私、冷え性で…」 「冷え性?」 苦笑する#name#に「何だそれ」と言わんばかりの表情を見せる鋼牙。 #name#はどう説明しようか悩みながら続けた。 「えっとね、私は手が冷えやすいの」 「そうなのか…なら、おれの手で暖めたらどうだ?」 「そうだね、ならお言葉に甘えて…って冷たっ!」 そっと鋼牙の手を包み込むと、ばっ!と即座に離した。 すると鋼牙が表情を変える。 「どうしたんだ?」 「鋼牙の方が手、冷たい…」 肩を竦める#name#。 それを見て、鋼牙は戸惑いをあらわにした。 「す、すまねぇっ!…大丈夫か?」 「うん、全然平気だよ。それにね…」 戸惑う鋼牙をなだめ、再びそっと手を握る。 鋼牙は不思議そうに#name#を見つめていた。 #name#はそっと口を開き、こう続ける。 「手が冷たい人はね、心があったかいって言われてるんだよっ」 満面の笑みで鋼牙に説明した。 すると鋼牙は、 「──#name#っ!」 「きゃっ!?」 #name#をぎゅうっ、と抱き締めた。 次第に#name#の頬が、ほんのりと紅潮していく。 「さすがはおれの女!良いこと言うぜっ!」 「えっ私、いつ鋼牙くんの彼女になったの!?」 「いつって、出会った時からに決まってんだろ?」 「えぇぇえっ!?」 当然のようにキョトン、と言う鋼牙。 #name#は口ではそう言っているが、本当は嬉しくて。 ほんのり笑顔を浮かべ、鋼牙をぎゅっと抱き締めた。 end.

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