◆ 暖かい心の証
「うぅ~…寒いぃ~…」
鼻を赤くし、手をこすり合わせる#name#。
その姿は本当に寒そうで。
隣を歩く犬夜叉は、心配そうに#name#を見つめた。
「大丈夫か#name#?」
「無理…犬夜叉、手かして…」
「お、おう…?」
急な申し出に、少し戸惑いながらも手を差し出した。
その瞬間がばっと包み込むように、#name#が犬夜叉の手を掴む。
一気に犬夜叉の顔が引き吊った。
「冷てぇッ!?」
「犬夜叉の手、あったか~い…」
顔を綻ばせる#name#に対し、犬夜叉は冷たさに口元をひくつかせていた。
途端に犬夜叉の鼻がぴくり、と何かに反応した。
「…チッ、痩せ狼の臭いだ」
「え、鋼牙くんっ?」
疎ましそうに表情を歪める犬夜叉。
だが#name#は反対に、期待に満ちた声をもらした。
その時だった。
つむじ風が見えたかと思うと、犬夜叉の頭をドスっ、と何かが踏みつけた。
「うぶッ!」
「よう#name#、元気にしてたか?」
踏みつけた何かは鋼牙だった。
#name#を前にした鋼牙は、清々しい声でそう言った。
対する#name#も嬉しそうに笑顔を見せた。
「鋼牙くんっ!」
そう言うと、ぎゅっと鋼牙の体に手を回す。
すると犬夜叉が、わなわなと体を震わせ始めた。
「おいこらテメェ!何おれを踏みつけといて、無視までしやがんだよ!!」
「何だ犬っころ。いたのか」
食い掛かる犬夜叉に、平然と返事をする鋼牙。
その言葉に怒りを覚えたのか、犬夜叉は鋼牙に爪を向ける。
「ふざけんな!#name#を離せっ!」
「何だよいちいちウッセーなぁ…#name#、どっか遠くに行こうぜ」
「え、わわっ!」
爪で地面を破壊する犬夜叉を避け、鋼牙はその拍子に#name#を抱き上げた。
「あっテメェ、待ちやがれ!!」
「ふんっ、あばよ犬っころ!」
「えっえぇぇえ!?」
#name#の声が、すぐに小さくなるほどのスピードで、鋼牙はどこかへ走り去ってしまった。
「…ここなら犬っころも来ねぇだろ」
そう言い、鋼牙はそっと#name#を降ろした。
思わずバランスを崩し、ふら…とよろける#name#を、鋼牙が手を掴んでそれを支える。
その時、鋼牙が顔をしかめた。
「どうしたんだ#name#。手、冷てぇぞ」
「いやぁ…私、冷え性で…」
「冷え性?」
苦笑する#name#に「何だそれ」と言わんばかりの表情を見せる鋼牙。
#name#はどう説明しようか悩みながら続けた。
「えっとね、私は手が冷えやすいの」
「そうなのか…なら、おれの手で暖めたらどうだ?」
「そうだね、ならお言葉に甘えて…って冷たっ!」
そっと鋼牙の手を包み込むと、ばっ!と即座に離した。
すると鋼牙が表情を変える。
「どうしたんだ?」
「鋼牙の方が手、冷たい…」
肩を竦める#name#。
それを見て、鋼牙は戸惑いをあらわにした。
「す、すまねぇっ!…大丈夫か?」
「うん、全然平気だよ。それにね…」
戸惑う鋼牙をなだめ、再びそっと手を握る。
鋼牙は不思議そうに#name#を見つめていた。
#name#はそっと口を開き、こう続ける。
「手が冷たい人はね、心があったかいって言われてるんだよっ」
満面の笑みで鋼牙に説明した。
すると鋼牙は、
「──#name#っ!」
「きゃっ!?」
#name#をぎゅうっ、と抱き締めた。
次第に#name#の頬が、ほんのりと紅潮していく。
「さすがはおれの女!良いこと言うぜっ!」
「えっ私、いつ鋼牙くんの彼女になったの!?」
「いつって、出会った時からに決まってんだろ?」
「えぇぇえっ!?」
当然のようにキョトン、と言う鋼牙。
#name#は口ではそう言っているが、本当は嬉しくて。
ほんのり笑顔を浮かべ、鋼牙をぎゅっと抱き締めた。
end.
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