◆ 君はとても不器用
さらさらと透き通った水が静かに流れる河原でのこと。
2人ほどの人影が、河原の石を見つめていた。
「ねぇ、犬夜叉は"水切り"って知ってる?」
「水切りぃ?何だそりゃあ」
聞き慣れない単語に、顔をしかめる犬夜叉。
その時#name#が、大量の石の中から平らで薄い石を見つけ出した。
そしてそれを構え、腰を屈めて川に向かって投げ飛ばした。
するとそれは、水をぱしっぱしっと水を切って行った。
3回ほど波紋を広げると、トポンと音を立てて沈んでいく。
「こういう遊びのことっ」
「…ほぉ~……」
犬夜叉には珍しく、感心したように、波紋が広がる水面を見つめていた。
そして、ぱっと表情を変えるとにやりと不敵に笑みをこぼす。
手当たり次第に、足元の石をひとつ拾い上げた。
「石を投げりゃいいんだな!簡単だぜっ!」
「えっ、いや普通に投げるだけじゃ──」
#name#の台詞も聞かず、真っ向から思いっきり投げ入れてしまう。
それはドボンっと鈍い音を立てて沈むだけで。
水を1度も切れてなどいなかった。
唖然とする犬夜叉は、ぽつりと呟きをこぼした。
「…何でだ?」
「っぷ!」
思わず吹き出してしまう#name#。
それを見た犬夜叉は、ムっと口を吊り上げた。
そして、ツーン!という音が聞こえそうな顔のそむけ方をする。
「わ、笑うこたぁねぇだろっ!」
「だって、犬夜叉ってば全然できてないんだもんっ!」
ついには腹を抱えて笑い出してしまう。
それのせいで、思いっきりふてくされてしまった犬夜叉。
さすがにそれを見兼ねた#name#は、犬夜叉の顔を覗き込んで言った。
「ごめんごめん、ちょっと笑いすぎちゃった。…怒った?」
「………」
「うっ、怒ってるでしょ……」
覗きこまれた顔を、ふいっと逸らす姿で#name#は確信してしまった。
これは少しだけど、怒ってる。
何度も顔を覗き込み、謝罪を続ける。
「ごめんってば」とか「教えてあげるから許して?」とか。
すると、ようやく犬夜叉も、渋々だが許してくれたようで。
#name#はほっ、と胸を撫で下ろした。
「…で、早く教えろよ」
「うん!あのね、薄くて平らな石を投げるの」
「なんだ、なら本当に簡単じゃねぇか。っよし!」
ころっ、と気分を変えると、犬夜叉は#name#の言うような石を探した。
#name#も同時に探していると「あった!」と犬夜叉の声が。
犬夜叉はそれを掴むと、再び真っ向から投げ入れる。
「あ」
トポン。
石はそんなむなしい音を立てて、底にこつんと沈んでしまった。
これから投げ方も説明しようと思っていた#name#は、はぁ…とため息をこぼしてしまう。
犬夜叉は#name#の方を振り返った。
「出来ねぇじゃねぇか」
「今度から、人の話は最後まで聞こうね…」
end.
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